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  • 鱗 皇驪 「ねえ、希驪。私は、知っているんです。
     そなたも彼女を愛している事を。
     ですが私も同じく、彼女を愛してしまった……」
  • 鱗 皇驪 「その事をずっと悩んでおりましたが、今ようやく解決の糸口が見つかりました。
     希驪。仲良く共に、彼女を愛しましょう」
  • 鱗 希驪 「はい!? な、何、言って……」
  • 鱗 皇驪 「私にとって、そなたも大切な弟ですから、そなたとは争いたくないのです。
     それにきっと、二人の力を合わせれば彼女も振り向いてくれるはず」
  • 鱗 皇驪 「私は、彼女とずっと共にいたい……。
     ん、はぁ……。ねえ希驪。教えて下さい……。
     これで、合っていますか?」
  • 鱗 希驪 「っ……シリーン……」
  • 息を呑む音が聞こえる。
    目隠しされているのに、希驪太子が私を まじまじと見ている視線を感じた。
  • シリーン 「希驪、太子……私……」
  • 鱗 希驪 「……っ、そんな顔で、俺の名前呼ぶなよ!
     俺だって、我慢……できない……」
  • 皇驪皇太子の唇が離れた隙を狙って、今度は希驪太子の唇が重なった。
  • シリーン 「ん、ん……っ……!」
  • 鱗 希驪 「君が、悪いんだからね……俺だって、君のことが好きなんだから……。
     ん、はぁ……」
  • シリーン 「あ……っ……、はぁ……希驪……太子っ……」
  • 鱗 皇驪 「やはり、希驪はさすがですね……。そなたの口づけに白娘子はすっかり心を奪われたようです。
     どうか白娘子。私と、希驪を愛して下さい……」
  • こんなの、おかしい。
    彼らから同時に求められるだなんて。
    悦ぶなんて。
  • シリーン (違う、私は――)
  • 言い訳をしたいのに、その暇を貰えない。
    夢中になっていると、皇驪皇太子が少し離れて、また近づく気配がした。
  • 鱗 皇驪 「さ、希驪。今度は我が鱗帝国が誇る桃の絞り汁を用意しました。
     彼女に飲ませてあげて下さい」
  • 鱗 希驪 「へぇ? こう兄、いい趣味してるね。
     ……ほら、口を開けて。
     たっぷり飲ましてあげるよ……」
  • シリーン 「っん――!」