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ライザール・シャナーサ
「お前は、不満ばかりだな。
――私に触られるのが、嫌だと?」
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シリーン
「ちが……もっと、わたしだって……ライザール様に、触りた……」
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ライザール・シャナーサ
「それは、結婚後までお預けだ」
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まるで恋人の睦言のように甘く囁いて、彼の手が私の身体から的確に快感を引き出していく。
やはりかなり、手慣れている。
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シリーン
(どう、しよう……)
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縄抜けなら、簡単に出来る。
でもそんなことをすれば素性を疑われるだろう。
普通の娘は縄抜けなんてしない。
かといってこのままでは一方的に嬲られるだけだ。
彼を誘惑することも、興奮させることも出来ない。
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シリーン
「あ……っ……」
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その時、彼の指が下着の上から足の付根に触れた。
濡れていることに気がついて、彼がふっと笑う。
――早く、早くこの状況から逃げなきゃ――。
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ライザール・シャナーサ
「――っ!」
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シリーン
(え――?)
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鋭い殺気を感じたと思ったら、いつの間にかそこに見知らぬ人がいた。
その人が、ライザール王の喉に縄をかける。
――殺されようとしている。
ライザール王が、たった今。
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シリーン
(ううん、そんなことより……)
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ライザール王を殺そうとしている人。
女の服を着ているけれども、私には分かってしまった。
彼が、ジェミルだと。
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シリーン
(なん、で……ジェミル……!)
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ライザール・シャナーサ
「女。俺を殺してどうするつもりだ?」