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ヴィンス・ルーガン
「離れろ。
私を誰だか分かってやっているのか?」
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シリーン
(さすがはヴィンス殿下。
もう少し、ひと押ししたほうが良さそう)
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ヘナタトゥーの力を借りるのなら誰でも出来る。
でも、私には店主様に子どもの頃から仕込まれた誘惑の術がある。
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シリーン
「ヴィンス殿下、私は戦利品です。
お好きにされて構いません」
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甘えるように、蠱惑的に、瞳を潤ませて小さく微笑む。
一歩近づく。
他人同士が会話をする距離から恋人同士の距離へ。
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ヴィンス・ルーガン
「戦利品だと? 何を言って――」
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ヴィンス・ルーガン
「っ……」
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ヴィンス殿下の顔色が変わった。
頬は紅潮し、その瞳はぎらぎらと欲望を滾らせる。
瞳に残っていた理性がみるみるうちに遠ざかり、その眼差しが細くなる。
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ヴィンス・ルーガン
「……っは、ぁ……。
この私に……っ薬を、盛ったのか……?」
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ヴィンス殿下が胸元を抑えて喘ぐ。
――あとひと押しだ。
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シリーン
「いいえ。一国の王子様にそのような失礼なことは致しません」
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シリーン
「ヴィンス殿下。
ご自分の気持ちに素直になられてはいかがですか?」
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そっと指先だけで腕に触れる。
もっと触れて欲しいと、もどかしくなるように。
それだけで、十分だった。