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ロラン・クライデル
「ふふっ……可愛い……」
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ロラン・クライデル
「ねえ、君の色んな顔を見せて……。
僕がいっぱい、気持ちよくしてあげるから」
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ロラン・クライデル
「君は、何も考えなくていいんだ。
全部、僕に委ねて……」
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彼の妖艶な眼差しに、優しい舌と指使いに、ぼうっとしてしまう。
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シリーン
(でも……)
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このまま流されてはいけないと思った。
だって彼は、やりたくてしていると思わなかったから。
今まで私は、多くの男の目を見てきた。
私を抱きたいという男、自分が気持ちよくなりたい男。
私を組み敷くことで征服欲を満たしたい男……。
ロラン様はどれでもなかった。
濁った、何も考えていないような目。
でもその奥では悲しみと怯えが燻っている
感情を吐き出す術を知らないから。
泣けないから、彼は私の身体を悦ばせようとする。
あまりに矛盾した行為で、それでも彼にとっては当たり前な方法。
だから、私は彼の肩を渾身の力で押し返した。
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シリーン
「ロラン様。やめて、ください……」
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ロラン・クライデル
「え……? なんで……?
やめてって……そんな、嫌だったんですか?」
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ロラン・クライデル
「じゃあ……僕は、どうすればいいんですか……?
僕は……っ……何、を……っ……」
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初めてその目に感情が宿り、涙が浮かんだ。
ぽろぽろと涙を零して、ロラン様がしゃくりあげる。
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ロラン・クライデル
「う……ひっく……っ……
やだ……嫌です……っ……嫌いに、ならないで……」
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ロラン・クライデル
「気持ちよく、するから……
精一杯頑張るから……僕を、一人にしないで……」
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肩を震わせて泣き続けるロラン様。
一人にしないでと言う声。
ふとかつて彼と交わした会話を思い出した。