オトメイト『終遠のヴィルシュ -ErroR:salvation-』
- セレス
- 「……っ!?」
- 海から、強い潮風が吹いてくる。
- それに煽られ広がるのは、
黒と赤の交じる無数の花弁。
- 恐ろしい漆黒の中に光る
僅かな赤が妖艶的で美しく。
- 嫌でも目を奪われてしまう、
花吹雪の先にいたのは――。
- リコリスの花畑の中央に佇む、
顔の半分近くを覆い隠す仮面をつけた、一人の青年。
- 彼は誰もが恐れるリコリスの花を、
愛おしそうに撫でては――。
- ???
- 「…………」
- 覆われていない片目から、
透明な涙を静かに零していた。
- 潮風に揺れる髪に、
リコリスを淡く照らす月の光が落ちる。
- 青年は、花弁が再度舞ったあと。
自らを囲う死の象徴へ――。
- ???
- 「…………あいしているよ」
- 慈しむように、そう囁いた。