- レオン
- 「おい、ギスラン。この際だから言わせてもらうぜ」
- ギスラン
- 「……どうしてもというのなら、手短に言え」
- レオン
- 「それだよ、それ! その威圧的な態度、どうにかしろ!
あいつが怖がったらどうすんだ! ……それはそれで可愛いと思うけどよ」
- ギスラン
- 「なぜ貴様にそんな指図を受けねばならん。
……というか、初対面で婦女子に狼藉を働いた輩に、態度がどうのと言われたくはない」
- レオン
- 「ぐ……!」
- ギスラン
- 「第一、最も警戒されているのは俺ではなく貴様だろう」
- レオン
- 「ぐ、ぐおお……! 否定してえのに否定できねえ……!」
- ユベール
- 「何、落ち込むことはないさ、レオン」
- レオン
- 「ユ、ユベール……!」
- ユベール
- 「【最悪な男】から【苦手な相手】に昇格できただけでも、奇跡じゃないか。
間違いなく他の者より出遅れているし、今更挽回は難しいだろうが……。
十分に健闘はしたと思う。君の努力は、私も認めているよ」
- レオン
- 「……出遅れ……」
- ギスラン
- 「……気づいていなかったのか。とことん鈍い男だな」
- ヴィオレット
- 「…………」
- 会話の詳細はよく聞こえないが、少なくとも和やかな空気には見えない。
大方、ユベールがレオンをからかい楽しんでいるのだろう。
- ヴィオレット
- (これは、止めに入った方がいいかしら)
- けれど、他の様子も気になる……。
- ルイ
- 「おや、この菓子は初めて見るね。素朴な味だが、なかなかだ」
- オルフェ
- 「あ、それはウィエのお菓子。僕が持ってきたお土産なんだ。
気に入ってくれたなら、頑張って作った甲斐があったよ」
- ルイ
- 「ほう、これを君が? 料理までできるとは、多才だね」
- オルフェ
- 「1人で生活していると、自然にね。よかったら今度、他にも作って持って行こうか?」
- ルイ
- 「それはありがたい。では私も、カンパニュールの菓子で出迎えよう。
ただ、侍女任せの物になるのは申し訳ないが……」
- オルフェ
- 「ルイは料理が苦手なの?」
- ルイ
- 「苦手というか……、したことがないな」
- オルフェ
- 「あ、そっか。王子様だもんね。
でもルイって器用そうだし……。やる気があれば、すぐにできそうだけど」
- ルイ
- 「そうかい? なら、いずれ挑戦してみるのも面白いかもしれないな。
その時はぜひ、ご教授をお願いするよ、オルフェ」
- ……対照的に、こちらは非常に穏やかだ。レオンたちのいる場とは別世界に見える。