- オルフェ
- 「……あの、ヴィオレット。……本気?」
- ヴィオレット
- 「ええ、本気よ。あなたが眠るまで、見張っているわ」
- オルフェ
- 「い、いやでも、こんなことをしたら浅葱に怒られると思うんだけど……」
- ヴィオレット
- 「いいから、眠るの」
- オルフェ
- 「わかった、わかったから……! これ以上は近付かないで!」
- 観念したように横たわると、オルフェは深々とため息をついた。
- オルフェ
- 「……君って、意外と強引なところがあるよね」
- ヴィオレット
- 「だって、こうでもしないと眠ってくれないでしょう?」
- オルフェ
- 「それにしたって……。さすがにちょっとどうかと思うよ、この状況は」
- ヴィオレット
- 「どうして?」
- オルフェ
- 「……僕も一応、健康な男の子なので」
- ヴィオレット
- 「……………………」
- オルフェが男性なのは、当たり前のことでは。
……なんてことを口にしかけ、
- ヴィオレット
- 「……あ」
- 自分の解釈が、見当違いであることに気がついた。
- ヴィオレット
- 「ま、待って! 決してそんなつもりはなくて……!」
- オルフェ
- 「もしかして、何か期待されてるのかなって、ちょっと思っちゃったんだけど」
- ヴィオレット
- 「違うわ……!」
- オルフェ
- 「本当に?」
- ヴィオレット
- 「本当よ!」
- オルフェ
- 「……そっか。ちょっと残念」
- ヴィオレット
- 「え……?」
- さっきまでのからかいの色は消え、妙にしんみりとした声がぽつりと呟く。
- オルフェ
- 「……けど、それでもいいや。君が傍にいてくれると、安心する。
これなら本当に、眠れそうな気がするよ」
- オルフェ
- 「誰かと一緒に眠るって、こんなにも……、温かな気持ちになれるものなんだね」