- ヴィオレット
- 「ねえユベール、どうしても眠らなくてはいけないの?」
- ユベール
- 「そうだよ。今から、少しずつ慣れていかなくてはね。
姫は、食べることは好きになれただろう?」
- ヴィオレット
- 「……甘いお菓子は、好き」
- ユベール
- 「そう。それと同じことだよ。
花人は食べたり眠ったりしなくても生きられるが、地上の種人たちは違う。
姫がもっと大きくなって、レーヌとしての務めを果たすようになったとき……
種人たちの気持ちをわかってあげられるように、まねっこをするのだよ」
- ヴィオレット
- 「まねっこ?」
- ユベール
- 「そうだ。種人ごっこだよ。楽しそうだろう?」
- ヴィオレット
- 「ならユベールは? どうして眠らないの?」
- ユベール
- 「私にはまだ仕事が残っているからね。
姫が眠っているうちに片づけてしまわなくては」
- ヴィオレット
- 「……そんなのずるいわ。
どうしてもというなら、ユベールも一緒に眠ってくれなくてはいや」
- ユベール
- 「……困ったね。何故そこまで、眠るのを嫌がるんだい?」
- ヴィオレット
- 「…………」
- ユベール
- 「……姫?」
- ヴィオレット
- 「……どうしても、なの……」
- ユベール
- 「やれやれ、拗ねてしまったか。仕方ないな……」