- オルフェ
- 「やった。なら、約束! ね、君も手を出して。僕みたいに」
- ヴィオレット
- 「え……?」
-
目の前にすっと差し出された小指を、わたしは困惑しながら見つめ――
同じように手を上げてはみたものの、何が何だかよくわからない。
- オルフェ
-
「僕の故郷では、約束をするときにこうするんだよ。
ほら、君も僕と同じようにしてみて。小指を立てるんだ。……こうやって」
- ヴィオレット
- 「こう……?」
-
恐る恐る立てた小指に、オルフェが自分の指を絡める。
まるで鎖のように、しっかりと。
- ヴィオレット
- 「オルフェ……?」
- オルフェ
- 「これは【指切り】っていうんだ。やっぱりやったことないよね」
- ヴィオレット
- 「え、ええ……」
- オルフェ
- 「ゆびきりげんまん、うそついたらはりせんぼん、飲~ます」
- ヴィオレット
- 「――針!?」
- オルフェ
-
「あはは、本当に飲ませるわけじゃないから安心して。
必ずこの約束を守りますっていう、心の戒めみたいなものだよ」
- 彼はそう言って、そっと絡めた指を外した。