- ヴィオレット
- 「……盗み見るなんて、ずるいわ」
- ルイ
- 「それは失礼。だが、水に触れたせいで指先が冷えてしまったのでは?」
- ヴィオレット
- 「お気遣いなく。少ししか触れてないから、大丈――」
- ルイ
- 「――ああ、やはり冷えてしまっているね」
- ヴィオレット
- 「っ!? な、何をするの、いきなり……」
- ルイ
-
「失礼、姫があまりに可愛らしかったものだから。つい、ね。
……君はレーヌらしく振る舞っている時よりも、今の方がずっと魅力的だ」
- ヴィオレット
- 「また、そんな冗談を……」
- ルイ
-
「いや、これは本心だよ。
現に私は、こうして君の愛らしさに突き動かされてしまった」
- ヴィオレット
- 「け、けれど、わたしがあなたに求めているのは……」
- ルイ
- 「恋人としての愛ではなく、騎士としての忠誠だろう? 心得ているさ」
- ヴィオレット
- 「……っ!」
- ルイ
- 「そこまで慌てて離れずとも、これ以上迫りはしないよ」