最初。
何が起こったのか全く分からなかった。
気付くと私は紫鶴さんに抱き寄せられていて、
何かが唇に触れていた。
それは少し冷たくて───。
- 久世ツグミ
- 「……き」
- 久世ツグミ
- 「きゃぁぁ……───!?」
逃げようとしても、背中をきつく抱かれて身動き出来ない。
- 久世ツグミ
- 「な、なな何、何するんですか!?
離して、離して下さい……っ!」
- 汀紫鶴
- 「何って……接吻というやつだよ?」
改めてそう説明され、私の全身から血の気が引いた。
- 久世ツグミ
- 「何、何を……す……っ」
- 汀紫鶴
- 「君のことを少し誤解していた」
- 久世ツグミ
- 「え? ……っん……!?」
再び唇がきつく重なり、呼吸を奪われる。
- 汀紫鶴
- 「……ん……っ」
- 久世ツグミ
- 「……っや、い……いや……」
抗いたいのに、躯が動かない。
紫鶴さんの吐息が触れる度に甘い痺れが広がり、
どんどん全身の力が抜けていってしまう。
- 久世ツグミ
- 「し、づ……っや……」
- 汀紫鶴
- 「……んっ」
驚きと恥ずかしさと、そして初めて味わう
陶酔めいたものが交互に襲ってきて、涙が滲む。