星野市香
「起きて下さい。もう日が暮れちゃいますよ」岡崎 契
「…………」星野市香
「岡崎さん……」なかなか起きてくれない岡崎さんを見て、どうしようかと思っていると――
岡崎 契
「んん……あれ。もう朝?」岡崎さんがぼんやりと眼を開けた。
星野市香
「いえ、朝じゃなくて夕方です」岡崎 契
「ん? ああ、そっか。キミと一緒だったね」
岡崎さんは何故か起き上がろうとせず、私の肩に頭を乗せたまま――。
花が咲いたように、ふわりと笑った。
岡崎 契
「良かった。やっぱりキミは悪い人じゃないね」星野市香
「え……?」岡崎 契
「だって、安心して眠れたから」その声色は心から嬉しそうで、やけに温かかった。