ギャラリー
- 狐射堂 遙
「……? どうかしたの? 何か気になることでもあったかしら」
- 香月 えれな
「い、いえ。とてもお綺麗です」
- 狐射堂 遙
「ありがとう。貴女はとっても可愛いわ。誰にも見せたくないくらいにね」
- 香月 えれな
「そんな、お世辞を言われても恥ずかしいです。一緒に歩いていても、皆遙様のほうばかり見ています」
- 狐射堂 遙
「あら……」
- すると、遙様はわたしの手をつかみ、耳元に顔を近づけて囁く。
- 狐射堂 遙
「先程から顔を伏せて歩いていること、ご自分では気付いていないのかしら? 堂々としていれば皆貴女を見るはずよ」
- 香月 えれな
「あ……」
- 狐射堂 遙
「でも黙っていたのは、誰にも見せたくなかったからよ。誰にも気付かれなくていい」
- 狐射堂 遙
「貴女が魅力的なことは私だけが知っていればいい。私だけのスタアでいて頂戴」
- 耳がくすぐったくなるような声で囁いて、遙様はまた歩き出す。
何事もなかったように微笑んで。
- 香月 えれな
(……は、遙様ってば)
- 遙様の吐息がかかった耳を、わたしは必死に手で押さえていた。
きっと真っ赤になっていたはずだ。
- 香月 えれな
(スタアは遙様のほうなのに)
- 香月 えれな
(わたしだけが秘密を知っている、トップスタア……)
- 香月 えれな
(誰よりもお綺麗な、遙様)