Beast and Princess -Gallery-418
- ヘンリク
-
「す、すまない。怪我はないか?
背中を打ちつけてしまっただろう。痛みは?」
- ユーリア
- 「ええと、大丈夫です」
倒れ込んだときに衝撃があったのは事実だが、
それらがどこかへ吹き飛んでしまうくらい
今の私は動転していた。
- ユーリア
- (どうして心臓の音が鳴りやまないの)
それだけではなく、顔が熱くてたまらない。
暗闇にまぎれているおかげでお兄さまには
わからないかもしれないが、間違いなく
赤くなっているはずだ。
- ヘンリク
- 「私につかまって。ゆっくり起き上がろう」
- ユーリア
- 「は、はい」
身体を離したお兄さまが先に立ちあがり、
手を借りて上体を起こす。
私が体重をかけてしまってもびくともせず、
お兄さまは力強く、しっかりと支えてくれた。
不意に、抱きしめられたときの感触がよみがえる。
- ユーリア
- (今まであまり意識したことがなかったけれど)
- ユーリア
- (……お兄さまは男の人、なのよね)