- 聖堂に戻ろうと、身を翻した瞬間。
- オルロック
- 「っ……!」
- リリアーナ
- 「ご、ごめんなさいっ……!」
- ぶつかった拍子に被っていたフードがずれ、色素の薄い髪と綺麗な双眸が覗いた。
- リリアーナ
- (? 両目の色が違う――)
- オルロック
- 「……怪我はない?」
- リリアーナ
- 「ええ、あなたが支えてくれたから……。」
- オルロック
- 「……今のは、おれのせい、だから。ごめんなさい。」
- リリアーナ
- 「ううん。私のほうこそ、もっと注意して振り返れば良かったのに……。」
- リリアーナ
- 「助かったわ。どうもありがとう。」
- オルロック
- 「…………。」
- オルロック
- 「なら、良かった。自力で立て、ますか?」
- リリアーナ
- 「ええ。」
- 彼は私が態勢を整えるのを待って、手を離した。
- それから特徴的な瞳を隠すように、コートのフードを目深に被り直す。
- 彼は会釈するようにうつむくと、そのまま私に背を向けた。