美しい白百合の花束を手にした男性が、墓標の前に佇んでいた。
リリアーナ
(彼は……、ファルツォーネの……)
ダンテ・ファルツォーネ。
水曜日の朝早く、彼はこうして教会を訪れ
墓前に花を手向けていく。
リリアーナ
(ファルツォーネ・ファミリーを束ねる冷徹なカポ。恐ろしい人なんだって知っているけど)
リリアーナ
(けど……)
朝の陽射しのためか、凛とした冷気のためか。
リリアーナ
(……とても、綺麗な人)
彼を取り巻く空気はきらきらと輝いて、目を奪われるほど美しかった。