- 気づいたら、唇を塞がれていた。
- リリアーナ
- (な……?)
- しなやかな腕がするりと伸びてきて、
私の顎を無造作に捕まえたかと思うと、強引に引き寄せて。
- 視界いっぱいに――意外なほど端正な、
綺麗と言ってもいいような顔立ちが迫ってきて。
- 顔と顔が触れた。
- 何故だか少し甘い花の香りがして、唇に濡れた感触が伝わった。
- リリアーナ
- (な……、な……。)
- 楊
- 「…………。」
- リリアーナ
- (――なんなの、これ!?)
- 私を捕らえる手を振り払いながら、逃げるように顔を背けようとする。
- リリアーナ
- 「やっ……!」
- なのに何も叶わない。
- リリアーナ
- 「ん、んん……!」
- 甘い毒をゆっくり流し込まれたみたいに、
頭がくらくらして、視界が白くなって、
思考が奪われていく――