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先程まで数匹しかいなかったのに、今は数十匹もの蝶が櫻の木を囲むように飛んでいた。
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玻ヰ璃[ハイリ]=ラリック
「これは……!」
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それはまさに、フィクションの世界でしか見たことのなかった光景だった。
ブワッと一面に広がる蝶の群れは、一瞬声を失ってしまうほど圧巻で――。
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玻ヰ璃[ハイリ]=ラリック
「すごい……」
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綸燈[リンドウ]=ウェステリア
「蝶を引き寄せる体質なら、このくらいできないと損ですからね」
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玻ヰ璃[ハイリ]=ラリック
「ふふ、損とかそういう問題なんですか?」
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綸燈[リンドウ]=ウェステリア
「ええ、そうなんですよ」
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そして私と綸燈さんは、くすくすと微笑み合う。
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玻ヰ璃[ハイリ]=ラリック
(こんな素敵な人なら、蝶が集まるのも納得だな……)