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オトメイト『DAIROKU:AYAKASHIMORI』(略称:ダイロク)|ショートストーリー

Q:彼について聞いてみた


瀬見季継について悪虂王について白月について比良について湫について

Q:ご趣味は何ですか?
初出:SweetPrincess vol.29(発行 ヘッドルーム)


妖守組マカツヒ組キクツネ組アマツナ組ミツチ組
えーっと、め、珍しく大蛇さんに会えたので、お時間をいただいて、湫さんについて伺いたく……
お話しできることでしたら構いませんよ
そんなこと言って、適当なことしか答えないんだろう?
心外ですね。私はいつでも協力的ですよ
……笑顔で会話してるところが怖すぎる……
協力的だと言うのなら、君たちミツチが本拠としている家が妖守のデータベースに登録されていないのはどういうことかな?
我々ミツチは別段隠れているわけではないので、あなた方が見つけられていないだけではありませんか
答える気はないってことかな
そんなことありませんよ。
我々ミツチは区画を持っておりませんし、間借りするのは少し気が引けるので、街中に家を持っているものは少なく、郊外に小さな家を持っているものが多いですね
君と湫のいる場所が知りたいんだけどね
……しゅ、湫さんの好きなものとかそういうのでもいいですよ! ね、室長!
そうだねぇ。
本拠に関してはこれから調べていけばいずれ判明すると思うし、いいんじゃないかな
いずれ、ですね。わかりました
見かけて話しかけても答えずに去っていくっていう報告ばかりだから、君に聞くのが一番いいからね、大蛇
私が湫のことを全て把握していると思いますか?
ミツチの参謀の君が知らないはずがないだろう?
私がミツチの参謀ですか。買いかぶりでは?
我々妖守を甘く見てもらっては困るね。
君たちの長い寿命には遠く及ばない人間である私たちは、記録という方法で幾世代も続けているんだ。
その情報から君たち二人がずっと一緒にいることは事実だと知っているんだけど?
……そうでしたね。あなた方を見くびっているつもりはありませんが、失礼しました。
そう評価していただいているのでしたら、気を引き締めないといけませんね
……これ、湫さんの話聞けるのかな……
大丈夫だよ、匡。
大蛇はちゃんと話してくれる。そうだろう?
ええ。きちんとお答えします。それが礼儀ですからね
……お二人ともすごく穏やかな笑顔だけど、なんだろう、空気が重い気がしてるんですが……。
では、湫さんのお話を聞かせてください!
湫の好きなものの話、でしたね
はい! 食べ物でもほかの事でも大丈夫です!
湫の好きなものは果物ですよ。
アマツナで売っているものや、現世の果物も最近では食べていますね
割と普通なんだ。と言っても、妖は食べなくても問題ないのに、不思議だよね
あなた方妖守と関わりながら暮らしているのですから、多少の影響はあります。
人間の真似をする輩が多いのはそういうことでしょう
ミツチにも同じように影響を受けた妖がいるんですか?
どうでしょう。湫はこちらに来る前から果物が好きだったので、他がどうかは分かりません
湫以外の把握をしていないのかな?
数が多いですからね。すべてを把握するのは無理でしょう?
はは、そうだね
(おれ、いないほうがいいのでは!?)
湫の好きなものは話したので、もう良いでしょうか
一つの情報をもらっただけで終わりと思われるのは心外だな。
せっかく話す気になってくれているのを逃すはずがないだろう?
……そうですね。私もそうします。
それで、他に何が知りたいんですか
匡、他に聞きたいことはないのかい?
へっ!? おれですか!?
何をそんなに緊張しているんだ。ただの世間話じゃないか
そうですね。ただの世間話です
そ、そうですよねぇ……あはは……
知りたいことはミツチの規模や目的、などでしょうか
話してもらえるとは思ってないから聞かなかったけど、話してくれるのかな
ええ、ミツチの規模はどのくらいかわからないですね。
湫についてくる者たちが多く、その者たちに賛同したものもいるので数えるのをやめました
ネズミ算式に増えてるってことですか!?
落ち着いて、匡。妖の総数はある程度把握しているし、各区画の住人も同様だ。
そこから割り出せばわかるはずだけど、さっきの話ぶりだと郊外に住んでいる妖だけじゃないだろう
そ、そうですね。街中に住んで各区の住人としているミツチの妖もいそうです!
私たちは仲間を集めているわけではありません。
ただ、ミツチを名乗り、群れて問題を起こすようなら容赦なく取り締まってください。
私や湫の方でも、出来る限り統率するように把握に努めますが、少し難しいので
は、はい! でも、あまり揉め事はしないでもらえると!
わかりました
……なるほどね
……何か?
いいや、何でもないよ。
それにしても、湫のことを聞くはずが、期せずしてミツチのことを聞けるとはね
そうでした! 湫さんって趣味とかないんですか?
匡、相手は妖だよ
そうなんですが、つい聞いちゃうんですよね
わからなくもないけどね
趣味、ですか。
散歩じゃないでしょうか。毎日ふらふらと出歩いていますし
……それが本当なら、ね
何か言いましたか?
いいや、湫の趣味が季継と一緒だなと思ってね
(常磐さん、大蛇さんの言葉信じてないんだろうな……)
彼も散歩が趣味なんですね。
確かに、街中で見かけることは多いですが、妖守の仕事かと思っていました
趣味と実益兼ねてるからねぇ
そうですか。あぁ、そろそろ私はお暇致します。これから行くところがあるので
今日はありがとう。良かったらまた話そう
……機会があれば、是非。では、失礼します
大蛇さん! ありがとうございました!
……というわけだけど、匡から見て彼等ミツチはどう思う?
湫さんの好きなものは本当だと思います。
ただ、散歩が趣味というのは、違う気がします……
正解。隠したいことがあるのかもしれないね。
まぁ、今のところ特に問題があるわけではないから、様子を見ていこうか
はい! 了解です!