夜の闇から滲み出るように現れたのは、
この場にまったく似つかわしくない、
車椅子に乗った老婦人。
だけど細められた彼女の瞳には、
老いを感じさせない強い光が宿っていた。
- オムニブス
- 「初めまして。
フランケンシュタイン博士。
そして……アイザックの呪われた娘」
- カルディア
- 「……! どうして私のことを……!?」
全身が、ざっと冷えた。
背中を氷の手で撫でられたかのように。
- フラン
- 「あなたは、いったい……?」
- オムニブス
- 「その様子だと……
サンはまだ何も話していないのね」
老婦人は微笑を湛えたまま、
私たちとの距離を詰める。
どういうわけか彼女の車椅子は
ひとりでに動いているようだった。
- オムニブス
- 「私の名は、オムニブス。
【イデア】という――ある組織の総帥を務めているわ」