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発売カウントダウンバックナンバー
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はぁ? 『六日後が楽しみだね』って、なんか特別な日なのか?
コイツの誕生日……はちげーし、市場で安売りがあるとか?
それとも……国民の祝日? っつっても、カマルは通常営業だしな……
あ、もしやリーシャの誕生日か?
ん? オレと一緒に出掛ける予定って……チッ。そうだった。
装飾品? ……買いに行くんだったよな?
……別に、毎日顔合わせてンじゃねーか。
今更楽しみって、それって……
『兄妹水入らずでゆっくりマネキンになってもらう』……チッ。
結局、そーゆうことか。ちょっと期待したオレがバカだった……チッ……
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ふ、ふふ~ん……あの娘とのデートまで、あと五日!
身なりも整えたし、完璧! あ、そうだ。初デートを成功させるにはやっぱりサプライズプレゼントが大事だよな!
楽しみすぎて忘れるところだったよ!
んー、俺の大好きな桃饅頭? でも苦手だったら困るしな……
妹たちが好きな空竹は……
さすがに子供っぽいもんな。
ここは定番だけど、アクセサリーにしようかな!
あの娘の白くてスベスベな肌につけるもの……うっ、なんでも似合いそうで悩むなぁ。
誰かに相談を……うーん、こう兄に聞いたら白娘子に似合うものになっちゃうし、街の女の子たちにオススメ聞いてこよ~っと!
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最後に……これを、ここに嵌めて……
えっと、あれ? ここの飾りが一個足りなかったみたいですね。
もう備蓄もないですし……よし、僕一人で街に行ってみましょう。
ここであの人に頼っちゃったら意味ないですし、四日もあれば、少し迷子になっても大丈夫ですよね。
ん? 不安にさせてごめんね。
ちゃんと綺麗に作ってあげるから信じて。
これで、ずっと貴女と一緒にいられますよ。
ふふ、あの人を模した美しい人形、きっとあの人も喜んでくれますよね。
楽しみに待っていてくださいね。ふふふ。
えっと……街に行くには、まずあそこの木に登ればいいんでしょうか?
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はぁ……どうしましょう。このところずっと考えておりましたが、あの大事な日まで、ついに三日を切りました。
白蛇伝を何度も読み、白娘子がお好きな事を学んできたつもりですが、実技経験のない私が上手く対応できるか不安で夜も眠れません。
念の為、もう一度確認を……ええと、許仙のように、彼女に傘を貸して、『雨で足元が泥濘んでいますから、気をつけてください』とそっと手を差し伸べます。
て、手を……白娘子の手を取り……そして……い、いけません。
それ以上は私には難しすぎます。
はっ! も、もし三日後雨が降っていなかったら、その場合はどうすれば良いのでしょうか。何を渡せばいいのでしょうか。
ここはやはり、慣れている希驪に相談してみましょう。
何か良い案を教えてくれるかもしれませんから
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作戦開始まで残り四十八時間か……部屋の地図も入手した。
消音ブーツも用意した。作戦に穴はないはずだが……
あいつに気づかれないように近づき、このルーガンの風習である発言許可の腕輪をつけるだけの簡単な任務だが、なぜか落ち着かん。
……あいつは腕輪を嫌がるだろうか……だが、国の風習を簡単に変える事はできないからな。これは、あいつを守るための作戦だ。
俺としては、腕輪に関係なく話してもらって構わないが……
ごほん。ん? ここの装飾欠けているのか? 腕輪を使う機会なんて無かったからな。
しかし……これは何て言う石なのだろうか。
宝石商を呼び寄せて確認させるか
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婚約者殿。浮かない顔をしてどうした。
ほう、明日の晩餐会で着るドレスに合わせる装飾で迷っていると?
見せてみろ。……確かにもう少し大ぶりな物でも良さそうだな。
明日、昼間にでも買いに行くとしよう。
ん? お前ではなく国民のために時間を使って欲しいと?
随分と奥ゆかしい婚約者だな。普通、王の妻になるのであれば、好き放題する者の方が多いが……お前のそうゆう所が愛おしくも、疑わしいと思ってしまうのは、王の性というものだろうな。許せ。
あぁ、一つ解決方法があるが試してみるか?
お前が何も身に着けていない姿であれば、装飾に悩むこともないだろう。
もちろん、私の前でだけだがな。
婚約者殿の気遣いに答えるのも王の役目であろう? ははは
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- ジェミル
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「すみませーん。誰かいますか……チッ。
なんで店員いねぇーんだよ。不用心だな。
長々とマネキンにされねぇように、アイツに似合いそうなもん先にアタリつけておこうと思ったが……チッ、勝手に見んぞー」
- 希驪
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「あー! こう兄、これこれ! これが女の子たちの中で流行ってる“ライラ”って名前の宝石なんだって! 綺麗な青だね……
さっすが、一夜っていう意味なだけある!」
- 皇驪
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「えぇ、とても美しいです。白娘子の白い肌にとても似合うと思います。
希驪に相談して正解でした」
- 希驪
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「でしょ! あっ、君店員さん? ライラで出来てるブレスレットと……
こう兄はネックレスでいい? あぁ、首飾りのことね」
- 皇驪
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「首飾り……首輪……っ、い、いけません! そんな破廉恥な」
- ジェミル
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「はぁ? 破廉恥? そもそも、オレは店員じゃ……」
- ロラン
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「はぁ……はぁ、やっと着きました! 木の上ではなく、川の下に行くべきだったんですね!」
- 希驪
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「ん? 川の下……? どっちかって言うと、ここは街の中……」
- ロラン
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「すみません、店員さん。この人形の耳飾りに嵌める宝石が欲しくて……
えっーと、あ、それ、色ぴったりです! その二つください」
- ジェミル
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「だから、オレは店員じゃねーって! チッ……店のやつが、留守みてーんだよ」
- ヴィンス
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「失礼する。つかぬ事を聞くが、この腕輪に合う宝石はあるか」
- ジェミル
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「チッ……この“ライラ”とか良いんじゃないですか。お客様にとてもお似合いですよ」
- 希驪
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「あれ? ヴィンスじゃん? なになに?
ヴィンスもサプライズプレゼント買いに来たの?
女には興味ないとかいつも言ってるくせに、隅に置けないですな~」
- ヴィンス
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「希驪! なぜお前が……っ、プレゼントではない。これは任務遂行用の装備だ」
- 皇驪
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「任務……まさか、白娘子を探しに行く任務でしょうか! 私もぜひ同行させてください!」
- ヴィンス
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「ん? はくじょうし……?」
- ロラン
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「ふふふ、僕も人形の瞳孔に宝石入れて見ようかな……?」
- ヴィンス
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「こいつは何の話をしているんだ。はぁ、いつもの宝石商が新婚旅行なんかに行っていなければ、呼び寄せて内密に処理できたものを」
- ライザール
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「なんだ。騒がしと思ったら、客が来たのか。
すまぬが、この店は移転するため本日は営業していない」
- 皇驪
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「移転……ですか?」
- ライザール
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「あぁ、この店は先程、私が買ったのだ。 最近、客足が落ちたと困っていたからな。
今後は別の場所で商売をしてもらうことにした。今、店主にそこへ荷物を運ばせているところだ」
- 希驪
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「えぇ~! 店ごと買った?? ってことは、ここの商品全部あんたの物なの? 俺たち今日のデートのために“ライラ”がいるんだけど!」
- ライザール
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「ライラ? あぁ、この宝石の事か。もうこの二つしかないと店主が言っていたな」
- ロラン
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「僕もこの人形を完成させるために、その宝石が必要なんです!
ね? 貴女もそう思いますよね。うん、そうだね。ちゃんとわかってるから」
- ヴィンス
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「私も任務遂行のために、必ず入手しなければならない。申し訳ないが、譲っていただけないだろうか」
- 皇驪
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「雨が降らなかった時のために、どうかお願いします。傘だけでは不安でして……」
- ライザール
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「ふむ……皆、この“ライラ”に強き思いがあるようだな。
だが、私も婚約者殿に贈りたいと思っていたからな……普段なら譲ってやるが、今回ばかりは、悩むところだ」
- ロラン
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「あっ、それではみんなで分け合いませんか? その方が気持ちいい……じゃなくて、心地いい? と思います」
- ジェミル
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「こんな硬そうな石、分けられねぇーだろ。あと、“心地いい”じゃなくて、言うなら“後味いい”だろ。変なやつ」
- ライザール
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「ほぉう、確かに分ければ平和的解決になりそうだな。婚約者殿もきっとそれを望むだろう。店主に聞いてみるか。
皆、ともに宮殿に来るといい」
- ジェミル
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「マジかよ。しかも宮殿って……コイツ、王族か何かなのか?
あっ、やべっ! もうこんな時間。……チッ、約束に遅れるとアイツ拗ねるからな。
オレはいいや、アンタらで分けろよ。じゃぁな」
- ロラン
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「あっ……店員さん行っちゃった……石分けてもらおうと思ったんですが」
- ヴィンス
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「あぁ、そうだな。先程、すぐに似合うものを見繕ってくれたからな。
審美眼がある者に頼みたかったが……残念だ」
- 皇驪
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「良かったですね、希驪。これで皆さんの気持ちが平等に、其々の想い人に届きますね。これこそ、美しい愛。
異種婚姻譚『白蛇伝』のように崇高な素晴らしい出来事です」
- 希驪
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「ん? そうだね。
案外、みんな同じ娘にあげるつもりだったりして……って、まさかね。考えすぎか。
まぁ、そうだとしても、負ける気しないけどね!」
- ライザール
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「おい、置いていくぞー」
- ライザール&ジェミル
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「甘美な罠に絡まれるのは誰か――」
- ヴィンス&ロラン
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「蛇香のライラ ~Trap of MUSK~」
- 皇驪&希驪
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「本日発売!!」