世界観

朽ちた葦の舟に乗り、その者は流れ着いた。
彼はそこに島を創り、【天供島(てんぐうとう)】と名付けた。

彼は次に【赤】【青】【黄】の色を創り、その色をさらに二つに分かち、男と女を創った。
彼の名は卑流呼(ひるこ)―――これが人の誕生である。

それから、幾何の時が過ぎ―――。

色とりどりの人々が住まう天供島では、
色別の格差社会が生まれていた。

色を保持する為に、組み合わせによる交配が義務づけられ、
生まれ持った色で階級が決まる。
原始の色に近いほど階級は高く、遠いほど低い。

ある日のこと、突如太陽の輝きに翳りが見え始めた。
徐々に長くなる夜が人々に恐怖を与える。

夜が全てを支配してから間もなく、
【黄】の長が一人の少女を舞台に立たせた。

少女は舞う。
すると―――不思議と太陽が輝きを取り戻し始めた。

以後、少女は舞い續けた。
太陽を輝かせる為に。
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