COUNTDOWN 6DAYS
「はじめまして。ギル・ラヴクラフトです。
いい加減、新しい一歩を踏み出そうと思って、キューピット・コーポレーションに登録したんですが、片思いしていた子の事を忘れられなくて……いつのまにか、失恋パラサイトって呼ばれるようになっていました。
で、ですが! 家事は全部得意です! 仕事もフリーランスなので、好きな人の予定に合わせられます。結婚について真剣に考えているので、どうぞ、よろしくお願いします。
うっ……でも願わくば、やっぱり彼女がいいな……はぁ…………」
「はじめまして。シェルビー・スネイルだ。
S氏の代理をしているオーウェンの、代理として、挨拶をさせてもらう。
彼はステータスに固執している地位パラサイトだと噂されているが、常にSSでいる事こそが、大事であり、婚活に於いても重要だと思っている。
食事を合理化した結果、ゼリー飲料に行き着いたが、結婚も合理的に進めたい。
ん? あぁ、いや、これはS氏の話だ。決して私の事ではない。
私は、……あ、愛妻家だからな。では」
COUNTDOWN 5DAYS
「ハァーイ! ラウル・アコニットだよ!
シリウッドで映画俳優をやってるんだ~!
『ジュラシック・ソード』や、『ハンナバル』とかに出てるんだけど、観てくれてたら嬉しいな! 恋愛映画への出演が決まったので、稽古のためにキューピット・コーポレーションに通ってます!
趣味は、神話研究! 昔、ボルトモアのネプチューン祭でサタンに襲われた時に神に助けられたことがあって、それからハマっちゃったんだよね!
撮影がない日は、神話討論会に出席したり、彫像を磨いたりしてるよ!
ねぇねぇ、キミは海の神・ネプチューンについて、どう考えてる?
一般的には、男神と言われているんだけど、俺は女神だと思っててね。
というのも、その助けられた時に姿を見たんだけど――――」
COUNTDOWN 4DAYS
「…………螢彩院・F・琉輝。ファッションデザイナー。
顔面偏差値が70以上じゃないと、恋愛対象として見れないから、そのつもりでよろしく。
そもそも偏差値55以下は、僕と違う世界の住人。もはやファンタジー。
目に入らない。
キューピット・コーポレーションには、姉が勝手に申し込んだだけで、僕自身は結婚に興味ないよ。……ただ一流のデザイナーになりたいだけ。
はぁ……なんで存在が認識できない人たちのために、自己紹介しないといけないのさ。もう僕は行くからね」
COUNTDOWN 3DAYS
「どうも、アラン・メルヴィルです。
9番街の『ラグジュアリー・ピロー』っていう枕屋で働いてるよ。
お客さんの身体を見たり、話を聞きながら、オーダーメイドで枕を作るんだ。
キューピット・コーポレーションのアドバイザーの子たちからは、略奪パラサイト、だなんて呼ばれてるけどさ、シェアハウスや、シェアサイクルは良くあるだろ?
恋人をシェアするのだって同義だと思うけどね。中々、わかってもらえないなー。
……ねぇ、キミたちは好きな人とかいないの?
そうしたら、いい夢見せてあげられるのに」
COUNTDOWN 2DAYS
「ん? オーウェンからメッセージか……『S氏と直接面談したいと強く求められています。どうしますか』。
はぁ……責任感の強い彼女の事だ。
いつかそう言われるとは思っていたが、予想よりも早かったな。
だが、私がS氏だとバラすわけにはいかない。
『上手く断っておいてくれ』と。
……しかし、強く求められたとは……何か重要な話でもあったのだろうか?
今度、それとなく聞いておくか」
「よいしょっと。このネプチューン像は、腕と肩の間にホコリが溜まりやすいんだよね~。
……よし! これで綺麗になった!
明後日は神話討論会もあるし、楽しみだな~!
確か……今回のテーマは『キューピットについて』だったよね。
あ! あのアドバイザーさんも誘ってみようかな?
十二神の話があんなに出来たのは、彼女とだけだったし、なんたって、キューピット・コーポレーションの社員さんだからね!
キューピットの話題が好きなはず! えっと、確か貰った名刺に連絡先が……あれ、どこに置いたっけ」
「ん? なんだか今日は肌が乾燥するな……もう一台、加湿器点けるか。
……この前、あいつの肌に合うミストを渡しといたけど、ちゃんと保湿してるだろうね。
今は偏差値55だけどさ、正しいケアさえすれば偏差値なんてすぐに上がるんだから。
今度抜き打ちでチェックしようかな。
って、なんで僕がこんなにあいつの事を考えなきゃいけないわけ。
はぁ…………#da536eのくせに。最悪」
COUNTDOWN 1DAYS
「ふっ、ふ、ふ~ん。明日、あの子に会えるんだよな~楽しみだな~。
昔は良く俺が食事を作ってたけど、最近は自分で料理してるのかな?
栄養バランス、偏ってないといいけど……管理してあげたいな……声聞きたいな……って、ダメダメ! いい加減、前に進まなきゃ。
で、でも……面談スケジュールの確認のためなら電話しても変じゃないよね?
今日はもう遅いし、明日、家を出る前に掛けてみよう。
うっ、電話越しの彼女の声も、可愛いんだよな……眠れるかな……」
「うん。枕用のフェザー、今回は良い質のものが買い付けられたな。
この弾力性と暖かさ。ダウンと混ぜて好みの比率にできるし、首への負担も少ない。
毎日忙しいロサンヨーク・ガールたちには丁度いいね。
恋人の事を考えながら、ぐっすり眠れれば、オレもいい夢が喰える。
最高の共存関係だ。……そう言えば、あの子も肩凝ってそうだったよな。
どうせ、人様の縁結びにばかり夢中で、自分の事は後回しなんだろうね。
せっかく良いフェザー入ったし、枕作ってあげるか。明日、電話してみよう」
NOW ON SALE
「あ、もしもし? ギルだけど、今大丈夫? 今日の面談は予定通りだよね!
うん、わかった! 楽しみにしてるね!
あ、いや、もちろん、内容は婚活アドバイスだと思うんだけど……君と話ができるのが嬉しいんだ。デ、デートのプランとか、お互いの価値観を共有することの大切さとかを、好きな人と考えられるのって、すごく幸せだし。
ん? あ、いや! そう、アドバイスの話!
じゃぁ、そろそろ向かうから!
え? 早すぎないかって? 約束時間の一時間前に着くから丁度いいと思うよ!
着いたらメッセージ送るね! また後で!」
「キュートでハッピーで、ハチャメチャな、女神×婚活ラブコメディ!
『キューピット・パラサイト』本日発売~!」
「あぁ、忙しい時にすまない。私だ。
その……オーウェンから聞いたんだが、S氏と直接面談したいと言っているそうだな。
何かトラブルでもあったのか?
……ふむ……あぁ、それは、確かに一理ある。
オーウェンから報告を受ければ、S氏はきっと解決策を提示してくるだろう。
ん? 私はどうしているかって? そ、そうだな。
私は、愛妻家だ。もちろん、……毎日している。相手を深く知る上で、アイコンタクトは有効だからな。ゴホン……では、今日も一日よろしく頼む」
「キュートでハッピーで、ハチャメチャな、女神×婚活ラブコメディ!
『キューピット・パラサイト』本日発売だ。「ハァイ! ラウルだよ~! 今話しても大丈夫?
急に電話してごめんね、名刺が中々みつからなくて…………!
あ、何かあったわけじゃなくて、お誘い! この前キミも神話の話してただろ?
興味あるのかなって思ってさ!
今夜、ロサンヨーク大学で神話討論会があるんだけど、一緒に行かない?
テーマが『キューピットについて』だから、きっとキミも楽しめると思うよ!
ん? それより15時からの恋愛セミナーを受けて欲しいって?
うーん、そのセミナーに出たら、ご褒美として討論会に行ってくれる?
……うん! やった! すぐ行くから待っててね~! じゃぁ後で!」
「キュートでハッピーで、ハチャメチャな、女神×婚活ラブコメディ!
『キューピット・パラサイト』本日発売だよ~!」
「あぁ、やっと出た。あんた、今どこにいるのさ。会社に行ってもいなかったし。
え? これから映画観に行くつもりだって?
……ちゃんと僕があげたミストは持ってるよね?
映画館はすごく乾燥してるんだから、暗転するごとに掛けたほうがいいよ。
はぁ? 忘れたの? しょうがないな…… 渡しに行くから、ロビーで待ってて。
ん? チケット? いや別に僕はその映画観るつもりないけど。
……まぁ、あんたがミスト掛けるのを忘れないように見張るためなら、隣座っててあげてもいいよ。偏差値のためだからね」
「キュートでハッピーで、ハチャメチャな、女神×婚活ラブコメディ!
『キューピット・パラサイト』本日発売だってさ」
「やぁ、アワーハニー。今、何してる? 好きな男の事でも考えてた?
あはは、いないんだったよな。(小声)そろそろ誰かに恋して欲しいけど……
あぁ……いや、こっちの話。仕事に夢中なのもいいけどさ、もう少し自分の身体のこと労ってあげて欲しくて電話したんだよ。
今キミが使ってる枕、合ってないんじゃないかな。この間、肩叩いてただろ?
デスクワークも肩こりの原因の一つだけど、枕も数ミリ高さが違うだけで、結構変わるんだよ。今日この後時間あるなら、うちの店来ない?
いい夢、見せてあげるよ。ははっ、そんなに警戒しなくても取って喰わないよ。
枕を作るだけだから。じゃぁ、店開けて待ってる」
「キュートでハッピーで、ハチャメチャな、女神×婚活ラブコメディ!
『キューピット・パラサイト』本日発売」