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カノン
「……そうだ。お前、母親の動いているところを見てみたくない?」
ルナ
「え? それは、見られるものなら見たいけれど……でも、どうやって?」
先代の女王であるお母様――アリス=リデルの肖像画は、城のあちこちに残されている。
しかし、映像を保存する技術は黒の世界にはない。
カノン
「僕の魔法は、過去の記憶をハッキリと蘇らせることができる」
カノン
「かつてお前が見た母親の姿を忠実に再現できるよ」
ルナ
「私の記憶……?」
カノン
「説明するよりやってみせたほうが早いね」
宣言するなり、カノンは顔を寄せてくる。
端正な顔立ちが、間近に迫る。
ルナ
「ちょ、ちょっと!? 何!? 何をやるの!?」
カノン
「僕の額とお前の額をくっつけないと、映像を伝えられないんだ」
ルナ
「……!」
カノン
「な……なに焦ってるんだよ、バカ。
おまえが照れると、こっちも恥ずかしくなるだろ!」
ルナ
「だ、だって……」