8月2日、奥音里。炎天下の町で、運命の糸が交差する。
町に伝えられる屍者伝説、死人を蘇らせる花、紫姓草――。
前日の奥音里禁忌倶楽部のオフ会で盛り上がったメンバーたちは翌日、河原でバーベキューを楽しむことに。
前日の奥音里禁忌倶楽部のオフ会で盛り上がったメンバーたちは翌日、河原でバーベキューを楽しむことに。
水遊びや散歩を楽しんでいると、そこへ、町の駐在警官・ヤスがやって来て上流で転落事故があったことを告げる。
だがそれは事故というより、ただならぬ事件を予感させるものだった。
口の軽いヤスから情報を引き出そうと詰め寄る禁忌倶楽部のメンバー。
そこへ、威圧感のある声が響く。
「その辺にしておけ、ヤス」
現れたのは、風厘館オーナー、叢雲ユヅキだった。
彼はヤスを追い払うと、次に目をつけたのは――
「おまえが花蒔イチコだな。この町に何しに来た?」
イチコに対して冷たい態度を取るユヅキ。
だがそれは事故というより、ただならぬ事件を予感させるものだった。
口の軽いヤスから情報を引き出そうと詰め寄る禁忌倶楽部のメンバー。
そこへ、威圧感のある声が響く。
「その辺にしておけ、ヤス」
現れたのは、風厘館オーナー、叢雲ユヅキだった。
彼はヤスを追い払うと、次に目をつけたのは――
「おまえが花蒔イチコだな。この町に何しに来た?」
イチコに対して冷たい態度を取るユヅキ。
「禁忌倶楽部、最初のイベントが呑気にもバーベキューか。おまえらどれだけ暇なんだ?」
メンバー全員に悪態をついて、ユヅキは去って行った。
楽しい雰囲気を壊されたまま、バーベキューは終了となった。
風厘館に戻ると、遠くから祭囃子が聞こえて来た。
どうやら、明日の夜にこの奥音里で夏祭りが開かれるらしい。
目抜き通りは夜店で華やぎ、夜半には花火も打ち上げられるこのお祭りは、この町では年に一度の大きな行事となっているそうだ。
午後、町を散歩するイチコは、禁忌倶楽部の面々と遭遇する。
迦具土ヒノ
「イチコ、明日、夏祭りがあるの、知ってるか?それさ……俺と一緒に行くか?」
甘梨イソラ
「ねえ、よかったら、ふたりで一緒に行かない? 明日午後6時、ロビーで待ってる。もし来てくれたら――『秘密』を話してあげるよ」
櫛奈雫トア
「あの、嫌じゃなければ、ぼくと一緒にどうでしょうか。……ああッ、セリフをすっ飛ばしてしまいました、テイク2でお願いします!」
建比良ソウスケ
「じゃあ、一緒に行くか。待ち合わせは例の本屋。服装は各自自由。持参するおやつは300円までということでいいか?」
「イチコ、明日、夏祭りがあるの、知ってるか?それさ……俺と一緒に行くか?」
甘梨イソラ
「ねえ、よかったら、ふたりで一緒に行かない? 明日午後6時、ロビーで待ってる。もし来てくれたら――『秘密』を話してあげるよ」
櫛奈雫トア
「あの、嫌じゃなければ、ぼくと一緒にどうでしょうか。……ああッ、セリフをすっ飛ばしてしまいました、テイク2でお願いします!」
建比良ソウスケ
「じゃあ、一緒に行くか。待ち合わせは例の本屋。服装は各自自由。持参するおやつは300円までということでいいか?」
それぞれから個性的に誘われるイチコ。
比良坂ユキの話だと、この夏祭りは、町に現れる「屍者」を弔うために始まったと言われているそうだ。
しかしその一方で、最近の若者の間では、
「夏祭りには、好きな人を誘って行くのが、ひとつの慣わしになってるんですよ」
と、教えてくれた。
「あ、それから、ユヅキが支配人室でお呼びですよ」
お風呂あがり、ロビーでくつろいでいると、外から烏丸チカゲが戻って来る。
(この人は奥音里に何をしに来たんだろう……)
そんな事を考えていると、烏丸はおもむろに、ここ風厘館のオーナーの名前をイチコに問う。
慌てて叢雲ユヅキだと答えると、
「ユヅキ……それだ……!」
そう短く叫んで、寝室のある2階へと姿を消した。
寝苦しい夏の夜が、今日も更けていく――。