- 高平
- 「ねえ、君。こんな古臭いとこより、もっといい旅館があるよ。
てか、最近できたんだけどね」
- ゆのは
- 「え……? 最近できたって、彩川峡にですか……?」
- 高平
- 「ん? 知らなかった?
結構有名なんだけどなー」
- ゆのは
- (彩川峡に旅館ができたなんて、わたし、知らない……)
福寿楼に帰って来たものの、
昔より活気がなくなっているような気はしてた。
ひょっとすると、それは……。
- 高平
- 「ボク、そこで働いてるんだけど、
超いい旅館だよ! なんならここキャンセルして泊まっちゃう?」
- ゆのは
- 「け、結構です」
- 高平
- 「そう遠慮しないで。こんな古びた旅館にはない施設も、色々――」