- ゆのは
- 「わっ……!?」
頭の上に、柔らかな感触。
宏太くんの大きな手のひらがわたしの頭を優しく撫でる。
- 宏太
- 「誰かに褒められるために仕事をしているんじゃないと思うが」
- 宏太
- 「頑張りを認めてもらえないのは寂しいからな」
- 宏太
- 「お前はよく頑張っている」
- 宏太
- 「俺だけでなく、みんなもお前の頑張りを認めている」
- ゆのは
- 「……ありがとう」
気恥ずかしいような、くすぐったい気持ちになったのは事実。
だけど……。
- ゆのは
- 「……ちょっとだけ、不満かな」
- 宏太
- 「え……?」
- ゆのは
- 「だってなんだか、子ども扱いされてるみたい」
少し拗ねた口調で言うと、宏太くんが慌てだす。
- 宏太
- 「あ、いや、そういうつもりじゃない。俺はただ……!」
- ゆのは
- 「ふふっ」
- 宏太
- 「…………からかったな?」
- ゆのは
- 「そんなことないよ。本当に思ったことだもん」
- ゆのは
- 「婚約者なのに、頭撫でるだけなんだーって」
- 宏太
- 「……なるほどな。確かに、これは子供にすることだった」
- 宏太
- 「なら……婚約者らしいことをするか」