わたしの後ろに回った金ちゃんは、
髪留めとピンを外すと、丁寧に髪をまとめ出す。
- ゆのは
- 「……金ちゃん、ほんとに大丈夫?」
- 金太郎
- 「お前な、心配しすぎだって。ほら、じっとしてろ」
- ゆのは
- 「う、うん……」
気になりつつも、ここは金ちゃんにゆだねるしかない。
- 金太郎
- 「にしても……、お前の髪ってサラサラだな」
- ゆのは
- 「え、そう?」
- 金太郎
- 「おう。それになんつーか……、ふわふわしてて、やりにくい」
- ゆのは
- 「そんなこと言われても……任せろって言ったのは、金ちゃんだよ?」
- ゆのは
- 「今更やっぱりできないって言うのはナシなんだからね!」
- 金太郎
- 「わかってるって。責任もってちゃんとする」
- 金太郎
- 「ちょっといい匂いがするくらいで、
おれは負けたりしねえんだからな」
- 金太郎
- 「……それにしても、甘くてほわほわする……」
- 金太郎
- 「これがフローラルな香りってやつなのかな……」
- 金太郎
- 「ハッ! 一瞬意識を奪われかけた。あっぶねー。
集中だ、集中……!」
- ゆのは
- (金ちゃんは一体、何と戦ってるんだろう?)