電撃Girl'sStyle 1月号(12/10発売)に
掲載されたSSのWeb限定アフターストーリー
「忘れられぬ人」
普通なら縁が無いと諦めてしまう所だが、彼にとっては逆だったようだ。
デュ・バリー夫人が腕を絡め、他のマダム達の所へ彼を引っ張り出す。彼は仮面を付けていないがデュ・バリー夫人にとってはその方が都合がよい。自慢する為に呼ばれた事は誰よりもフェルゼン自身がよく分かっていた。
「ランバールさん! 遅すぎます!」
「も、申し訳ありません……今のどなたでしたの? 素敵な方でしたけれど……」
「女の人に見境の無いフェルゼン様ですよ! 結婚している人にしつこく迫るなんて!」
そう言うとリーゼはオペラ座を後にする。
ランバール夫人は身代わりの件を知っている為彼女が躍れない事は分かっているが、今回は結局一曲も踊っていない。この様な機会はまたいずれ来る事を察し、戻ったら踊りの特訓を内密に受けて貰った方がよいだろうと考えていた。
フェルゼンは彼女を遠目に見送りながら、次に会う機会は自分で作り出すしかないと決意し、王太子妃に惹かれている自分に気付く。相手は王太子妃なのか、あるいは道端に咲く野花か……
~Fin~
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