- 桐阪保
- 「あ、あのさぁ……樫永くん?」
- 樫永和兎
- 「何ですか? うーん……何のスパイスが足りないんだろう?」
- 樫永和兎
- 「先輩、僕はもう少し酸味があった方がいいと思うんですが、どう思います?」
- 桐阪保
- 「どう、って……あのさ、うちのチームだけなんだよね、カレーを自前のスパイスから料理しているのって」
- 樫永和兎
- 「嫌だなぁ先輩。カレーだけじゃないですよ」
- 樫永和兎
- 「米も大事ですし、野菜だってニンジンとジャガイモじゃ困ります。その為に先輩に手伝って貰っているんですからね」
- 桐阪保
- 「手伝うって言っても材料を運んだだけだし……他の連中にも手伝わせたらいいんじゃないの?」
- 樫永和兎
- 「他はテントを作ったりして忙しいですからね」
- 椎葉亜樹那
- 「学校支給のお米が人数分、か……こんなにあるんだな。初めて見たよ」
- 楡居凪
- 「まさか米を炊いたことがないとか?」
- 椎葉亜樹那
- 「ないなぁ……お前は?」
- 楡居凪
- 「あるわけないだろ?」
- 椎葉亜樹那
- 「えっ!? な、何だよ……自分は経験があるような言い方をするからてっきり……」
- 楡居凪
- 「そんな言い方したっけ?」
- 楡居凪
- 「容れ物はたぶんこれでいいと思うぜ。他の班のヤツらもこれで炊いてるみてーだし。飯盒っていうのかな、コレ」
- 檜渡鈴太朗
- 「……うわっ、凄いですね! 何か本格的なキャンプって感じがします!」
- 楠見清孝
- 「キャンプだからなぁ……えーっと……これがうちの班のカレーか」
- 檜渡鈴太朗
- 「わっ、色も匂いも全然違う! さすがカレーに拘っていただけありますね!」
- 楠見清孝
- 「マイスパイスがどーとか言っていただけはあるな。味は未知数だが……ん? おい、横の飯盒はうちの班のものか?」
- 檜渡鈴太朗
- 「え? 横の、って……泡まみれですね。お米を炊いたらこんな風にならないはずなんですけど……」
- 楠見清孝
- 「ま、食べられたらいいんじゃないか? さて、樫永にいわれたアクとやらを取ろうじゃないか」
- 檜渡鈴太朗
- 「そうでしたね、忘れてました。……先生、アクって何です?」