- 橘川冴子
- (まずは相手を知ることが、大事……か)
お試しのお付き合いをして、
彼を好きになれるかはわからない。
- 橘川冴子
- (檜渡君が私を嫌になる場合もあるよね?)
そっちの可能性の方が高い気がする。
でも、檜渡君が、ここまで言ってくれてるし
それでいいなら――
- 橘川冴子
- 「檜渡君」
- 檜渡鈴太朗
- 「はいっ!」
- 橘川冴子
- 「わ、私でよければ……いいよ。
お試しで付き合っても」
- 檜渡鈴太朗
- 「ほ、本当ですか!?」
- 橘川冴子
- 「うん、檜渡君の期待に
応えられるか、わからないけど。
それでもいいなら……」
- 檜渡鈴太朗
- 「やった!! 俺、凄く嬉しいです!」
- 橘川冴子
- 「そ、そう?」
- 橘川冴子
- (こんなに喜んでもらえることなのか……)
- 檜渡鈴太朗
- 「じゃあ、今日からお試しの彼氏ということで
よろしくお願いします!」
- 橘川冴子
- 「っ!」
屈託のない笑顔を向けられて、ドキッとする。
好意を寄せられていることは純粋に嬉しく思えた。