- 椎葉亜樹那
- 「……冴子」
- 橘川冴子
- 「!?」
- 橘川冴子
- (え、どうして……)
- 椎葉亜樹那
- 「うん。やっぱり、
こっちの方が呼びやすいな」
- 椎葉亜樹那
- 「決めた。これからはお前を、
名前で呼ぶ。冴子って」
- 橘川冴子
- 「そ、そんな、急に言われても……」
- 樫永和兎
- 「…………」
- 樫永和兎
- 「亜樹那……どうかと思うよ?
橘川さんも困ってるみたいだしさ」
- 椎葉亜樹那
- 「困る? どうして名前を呼ばれたら困るんだ」
- 橘川冴子
- 「えっ」
- 橘川冴子
- (って聞かれたら、余計困るんだけど。
別にいいのかな、呼び方ぐらい。
椎葉君の好きにさせれば──)
- 椎葉亜樹那
- 「じゃあ、お前も俺を名前で呼べばいい」
- 橘川冴子
- 「へ?」
- 椎葉亜樹那
- 「その方が公平な気がするだろ。
うん、そうしよう。さあ、呼んでみてくれ」
- 橘川冴子
- (何でこんなことに……)