- ユベール
- 「美人薄命、という言葉を知っているかい?」
- ヴィオレット
- 「…………」
- 不意を打たれて跳ねた肩が、ゆっくりと下がる。
- ヴィオレット
- 「知っているわ。……それが?」
- ユベール
- 「美しさは、様々なものを惹きつける。望むものも、望まざるものも」
- ユベール
- 「屈服させるならば良し。だが、逆に惹きこまれてしまったら――」
- ユベール
- 「待っているのは、破滅だけだ」
- ヴィオレット
- 「…………」
- ヴィオレット
- 「有り得ないわ」
- ユベール
- 「……それはそれは、ずいぶんな自信だ」
- ヴィオレット
- 「自信ではなく、事実よ」
- ヴィオレット
- 「この樹が、花が、わたしを害することはない。もちろんその逆も」
- ヴィオレット
- 「――わたしが【レーヌ】で在る限り」
- ユベール
- 「………………違いない。さすがは私の姫。満点の回答だ。
素晴らしいよ、ヴィオレット」
- 楽しげに笑うその声に、わたしは呆れ交じりのため息をついて言う。
- ヴィオレット
- 「もういいでしょう?悪ふざけはここまでにして、ユベール」