ギルの腕は難なく私を捕まえた。
頬に添えられた手が、私を振り向かせ――
抵抗する暇もなく、唇が目尻に触れる。
リリアーナ
「も、もう、ギル……!」
彼の指先が耳にも触れて、くすぐったい。
じたばたしてみたけど、腰を抱えるように回された手はびくともしなかった。
ギルバート
「愛してる、リリィ」
ギルバート
「だが、もう……秘密なんて作らないでくれ。
俺はあんたの全部が知りたい」
リリアーナ
「……や、約束する……!」
ギルバート
「今回だって、別に信じてなかったわけじゃねえ。
いろいろと意地の悪いことも言ったがな」
ギルバート
「あんたの浮気なんて、疑うまでもねえが。
……それでも、嫉妬しないわけじゃねえんだ」
リリアーナ
「それは、私だって……」
ギルバート
「……あんたも嫉妬してくれんのか?」
リリアーナ
「ええ。……ギルは、街の女の子にすごく人気があるもの……」
ギルバート
「…………」
リリアーナ
「……だけど。ねえ、そろそろ離れて……!」
ギルバート
「無理だな。どうしたって離せねえよ。
……このまま、あんたを攫ってく」
ギルバート
「あんたがいじらしくて……。堪らねえんだ」
リリアーナ
「っ……。も、もう……!」
彼に抱き締められるのも、キスされるのも好き。
だけど、今、この談話室には――
オリヴァー
「ギルバート……。本当にそれくらいにしてやれ。」
ルカ
「姉ちゃんも大変だなー……。」