アル
「きゃあっ!?」
トリスタン
「……っ!」
アル
「なに、これ……!?」
トリスタン
「大物を引き当てたようだな」
アル
「ぐっ……重たい……!」
トリスタン
「……見ていられないな」
アル
「トリスタン!?」
トリスタンが私の背後に回り、私が持つ竿を握り締めた。
手伝ってくれたおかげで、腕への負担が軽くなる。
トリスタン
「そんな細い腕ではあげられないだろう」
アル
「ありがとうございます!」
顔を上げるとすぐそこにトリスタンの顔が見えた。
大物を前にわくわくしたような笑顔でいきいきとしている。
こんなに楽しそうなトリスタンは、今まで見たことがない。
アル
(私、今トリスタンに後ろから抱きしめられてるみたいになってる……)
背中から伝わってくるトリスタンの温もり。
川辺にいて体が少し冷えていたのかより温かさを感じる。
アル
(なんだか、落ち着く……)
包み込まれるような感覚がとても心地よかった。