マーリン
「君は今日が何の日だか忘れたのか」
アル
「……!」
マーリン
「犯人捜しは取り敢えず後だ。
今、君がすべきことは城下の広場に行くことだよ」
アル
「そう……だよね。ごめんなさい」
マーリン
「可哀相に。……熱かったろう」
アル
「……っ」
不意に、マーリンが私の頬に触れた。
マーリン
「……今は、火傷の痕をごまかすくらいしか出来ないが、後で全部治療してあげるよ」
マーリン
「それとも、痛んで歩けないかな?」
アル
「……───何を言ってるの?
広場に行くのは私の仕事だよ。……大丈夫」
私は皮膚に張り付いた痛みを堪えながら答える。
マーリン
「いい答えだ」
マーリンが指を鳴らすと、焦げてしまっていた礼服が一瞬で元通りになる。
痛みも同時にかなり和らいだけれど、皮膚の内側に籠もるひどい熱みたいなものはやはり消えなかった。