- オランピア
- (ほんの一瞬でも……助けだと思った私が愚かだった)
不安と悔しさから、涙が滲みそうになった───
その時。
- 朱砂
- 「聞け、天供島の民達よ!」
- 朱砂
- 「本日よりこの【白】のオランピアは、我々【コトワリ】の保護下に置かれることになった」
- オランピア
- (!?)
- 朱砂
- 「今後、彼女に危害を加えた者は厳罰となる。各留意するように」
- オランピア
- (保護……? この人は一体何を言っているの?)
声にならないどよめきが、幾つも重なっていた。
でも当の本人である私こそが───
全く意味が分からない。
- 青年
- 「あ、朱砂殿……オランピア様はどうなるのですか?
保護とは……何です? まさかもう舞台に立てないなどということは……」
- オランピア
- 「え……っ」
- 朱砂
- 「勘違いするな、そのような意味ではない」
- 朱砂
- 「彼女はこの天供島において、存在が確認されているたった一人の【白】」
- 朱砂
- 「故にその稀少な色が喪われぬよう、万難を排して護らねばならない」
思わず何か叫びそうになり、ぐっと飲み込む。
- 朱砂
- 「もう一度繰り返す」
- 朱砂
- 「本日この場より、何人たりとも彼女の心身を脅かすような真似をしてはならない」
- 朱砂
- 「破った者は……───相応の罰が下されるだろう」