- 縁
- 「……っ」
- オランピア
- 「……!?」
熱く柔らかなそれが触れたところから、甘い痺れが走り抜ける。
- オランピア
- 「……ぅっ」
それは死に水の泉で感じたものとよく似ていて、
躯の奥に潤んだ熱が広がった。
- オランピア
- 「よ、縁……っ」
- 縁
- 「じっとして、ブラウスが血で汚れる」
- オランピア
- (で、でも……)
縁の舌先が丁寧に血を舐め取ってゆく。
でも、乾かぬ傷からはすぐにまた真新しい
紅い血が滲み、彼の舌が───また這う。
- オランピア
- 「……あっ、もう……っ」
- 縁
- 「可哀相に……こんなになるまで耐えたんだね。
傷に効く軟膏を塗ってあげるよ、おいで」
- オランピア
- 「…………」
彼はいたって平然としていた。
軟膏を塗られる間、私はずっと息を殺していたというのに。