- 縁
- 「美しいお嬢さん、恋の行方を占いませんか」
- オランピア
- 「……!」
聞き慣れない声がした方を向くと、一人の青年が微笑んでいた。
- 縁
- 「お代は要りません。ただこの水盤にそっと手を入れて掻き回すだけ」
- オランピア
- 「こ、恋の……行方……?」
- 縁
- 「ふふ、悩んでる。初めまして、麗しのオランピア。僕は【紫】の縁」
- 縁
- 「突然声をかけて驚かせてごめんね。月黄泉から常々君のことを聞いていたものだから、つい」
- オランピア
- 「あら? 貴方は月黄泉の知り合いなのですか?」
- 縁
- 「うん、それなりに長い付き合い。だから僕に敬語は使わなくていいよ」
- オランピア
- (月黄泉の知り合いなら、きっと悪い人ではないわね)
私はこっそりと目の前の彼を眺める。
- オランピア
- (……【紫】)
こんな艶やかな葡萄のような紫の髪と瞳を、初めて見たと思う。
朱砂達と比べると細身で、佇まいが柔らかい。
- 縁
- 「というわけで本当に恋占いはどう? お婿さん捜しを始めたんだろ?」
- オランピア
- 「何故それを!?」
- 縁
- 「風の噂でね」