- オランピア
- 「今日はどうも有難う! どれも素晴らしく美味しくて食べ過ぎてしまったわ」
- 玄葉
- 「それは何より。ところでさ、一つ……大事な頼みがあるんだ」
- オランピア
- 「な……何?」
突然、さっきまでの明るい表情が消えて
反射的に後ずさってしまう。
- 玄葉
- 「そのイロハバナ、俺にくれないか。ちょっと成分を調べてみたいんだ」
- オランピア
- 「え? ああ! もちろんよ」
私が帽子から花を取ろうとすると───
- オランピア
- 「………………」
何かが額に触れた。
それが彼の唇であると理解するまで一秒。
でも───そこから言葉が出てこない。
- 玄葉
- 「見事な額だから、つい」
- オランピア
- 「え……!?」
- 玄葉
- 「良かった、泣かれたり殴られたり引っかかれたりしなくて」
- オランピア
- 「い、いま、あの……!」
- 玄葉
- 「俺はデートに誘ったつもりだったのに、全く分かってなかったろ?」
- オランピア
- 「デート!? だって食事のお礼って……」
- 玄葉
- 「そんなもの口実だって」
- オランピア
- (『デート』? ということは……)
- オランピア
- (……───『好ましく思う相手』?)
目眩がした。
頭の中が真っ赤になって、
全身が麻痺したように微動だに出来ない。
- オランピア
- (……デート? だった? あれが?)