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尾崎隼人
「……初めまして、鵜飼昌吾君。
俺は尾崎隼人と言います」
鵜飼昌吾
「貴様の名前は聞いてない」
星川翡翠
「…………」
余りのことに、普段は温厚な翡翠が眉をひそめたのが分かった。
滉は無言だけれど、滲み出る気配が既に不穏だ。
尾崎隼人
「音楽鑑賞は素晴らしい趣味だと思います。
が、廊下にまで音が筒抜けです」
鵜飼昌吾
「この程度でか? このアパートの壁は相当薄いんだな」
尾崎隼人
「そうですね。君が住んでいた首相官邸とは大分違うでしょうね。
でも今日からここで暮らすのでは?」
鵜飼昌吾
「僕の意思じゃない。
勝手にここに連れてこられただけだ」
そう言って───まるでこれ以上の会話を拒むかのように、
鵜飼さんはふいと顔を背けた。
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