- 汀紫鶴
-
「ボンジュール! そこの可愛いマドモアゼル!
金魚は如何ですか?」
- 久世ツグミ
- 「!?」
いきなり声をかけられ、私はびくりと後ろに飛び退いた。
- 汀紫鶴
-
「ああ、そんな逃げないで。
この辺りじゃ見掛けない顔だけど、
もしかして近くに引っ越してきたの?」
- 久世ツグミ
- 「あ、あの……」
- 汀紫鶴
-
「何なら家まで金魚を運んであげるよ。
どのあたり?」
- 久世ツグミ
- 「…………」
- 久世ツグミ
-
(どうしよう……軽薄そうだし、
住んでいるところは教えない方がいいわよね)
- 久世ツグミ
-
「あの……家は遠いんです、ちょっと用事で来たものですから……」
- 汀紫鶴
-
「何だ、そうなのか。じゃあ、金魚は無理かなぁ」
- 久世ツグミ
-
「そうですね、申し訳ありません。
では私はこれで……」
- 汀紫鶴
-
「待った! つれないなぁ、陽も暮れてきたし
これから僕と一緒にカフェでお茶でもどう?」
- 久世ツグミ
- 「お断りします」
- 汀紫鶴
-
「えー」