最初。
何が起こったのか全く分からなかった。
気付くと私は紫鶴さんに抱き寄せられていて、
何かが唇に触れていた。
それは少し冷たくて───。
逃げようとしても、背中をきつく抱かれて身動き出来ない。
改めてそう説明され、私の全身から血の気が引いた。
再び唇がきつく重なり、呼吸を奪われる。
抗いたいのに、躯が動かない。
紫鶴さんの吐息が触れる度に甘い痺れが広がり、
どんどん全身の力が抜けていってしまう。
驚きと恥ずかしさと、そして初めて味わう
陶酔めいたものが交互に襲ってきて、涙が滲む。