- 久世ツグミ
- 「……隼人、起きて」
- 尾崎隼人
- 「…………」
- 久世ツグミ
- 「寝たふりしても駄目です、起きて下さい。
今日は私達どちらも仕事でしょ?
起きて顔を洗ってご飯を食べて」
- 久世ツグミ
- 「きゃ……!」
- 尾崎隼人
- 「じゃあ、おはようのキスして」
- 久世ツグミ
- 「……さっきした気がするわ」
- 尾崎隼人
- 「もう一回してくれないと目が開かない」
- 久世ツグミ
- 「……さっきもそんなことを言ってなかったかしら?」
- 尾崎隼人
- 「まだ足りない」
- 久世ツグミ
- 「貴方がそんなことを言っているうちに、
私はもう身支度を済ませてしまったわ。
後は何処かのお寝坊さんがおとなしく起きてくれれば
台所に行って朝食の支度を始められるの。
さぁ起きて、シャツを着て」
- 尾崎隼人
- 「じゃあ、シャツ着せてボタン留めて」
- 久世ツグミ
- 「……呆れた。ヒタキよりひどいわよ、その台詞」
- 尾崎隼人
- 「ひどいのはそっちだ、こんな時に
他の男の話をするなんて」
- 久世ツグミ
- 「……なら、もう一回だけ……してあげるから、
今度は本当に起きてね?」
- 尾崎隼人
- 「起きる起きる、約束する」
- 久世ツグミ
- 「……恥ずかしいから、目を閉じていて」
- 尾崎隼人
- 「頬じゃなくて、唇にな」
瞼を閉じた顔で、しれっと彼が言った。