- 渕田 結茉
-
(びっくりした…… 綺麗な……人……?)
-
浮世離れした妖艶さに思わず見惚れてしまう。
と同時に、この男性が人ではない別の“何か”であることも理解する。
- 渕田 結茉
-
(石に封印されていた……妖怪、だよね。
私が封印を解いちゃったってこと……?)
- 渕田 結茉
-
(だとしたら……)
-
再び封印する必要があるはずだ。
少し身構えて男性から距離を取ろうとした時――
- ???
-
「……ここはどこでしょう?
私の知っている幻怪の森とは、少し雰囲気が違うような……」
-
男性は辺りを見回しながら、軽く首をかしげる。
- ???
-
「眠っている間に、木が増えたのでしょうか?
それとも、逆に減ってしまったのか……
記憶が曖昧で、どちらなのかも思い出せませんね」
-
緊張している私とは反対に、男性の口調や態度はゆったりとしている。
- ???
-
「……おや? こんなところに女人が。
もしかして、貴方が私を見付けてくれたのですか?」
- 渕田 結茉
-
「あっ……はい!」
-
その問いかけに、私は反射的にうなずいてしまう。
- ???
-
「そうですか、貴方が……
このような森の奥で出会えたのも、何かの縁かもしれませんね」
- ???
-
「もしよろしければ、一夜の宿を与えてくれませんか?
恥ずかしながら、私……行くところがないもので」