- 渕田 結茉
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(ちょっと待って! 陽琉と陽菜……? さっきの二人のこと……?)
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確かに二人を追いかけて来たけれど、どうする、とは……
- ???
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「黙ってねえで、なんか言え!」
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強い口調で怒鳴られ萎縮してしまう。
- 渕田 結茉
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「……私はただ、二人が心配で来ただけです。
あと……女の子が落とし物をしたので……」
- ???
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「は? 落とし物?」
- 渕田 結茉
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「これです!」
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慌ててクレヨンの箱を差し出すと、
男性の後ろから、先ほどの二人が顔を覗かせた。
- 陽菜
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「あ、わたしのクレヨン。 落としたの、全然気付かなかった」
- 陽琉
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「姉ちゃん、拾ってくれたの? ありがとう!」
- 渕田 結茉
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「どういたしまして」
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たぶん、女の子の方が陽菜で、男の子のほうが陽琉という名なのだろう。
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――とにかく二人が無事でよかった。
- ???
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「…………」