ルヲ
「さあさあ、とくとご覧あれ!
泰平な世で語るはまこと奇妙な言い伝え。 世にもまれなる変面人形芝居の始まりだ!」
ルヲ
「遥か昔、古い時代の物語。
世界は荒れ果て実りはなく、四凶(しきょう)と呼ばれる悪神がいた!」
ルヲ
「その恐ろしき四凶の名こそ、この通り!
渾沌(こんとん)饕餮(とうてつ)窮奇(きゅうき)檮杌(とうごつ)
半身人面、人面虎足。恐ろしきことこの上無し」
ルヲ
「人を喰らい大地を汚し、四凶たちは荒れ狂う。
賢者も愚者も辛苦の中で泣き叫び、世は荒れに荒れ果てた!」
ルヲ
「だがそこに、救い主が現れる。
そう。その者こそが仙虹(せんこう)だ!」
ルヲ
「仙虹、その名は胡 雲曜(こ うんよう)
人を憐れみ地に降り立ち、四聖獣(しせいじゅう)と手を結ぶ!」
ルヲ
応龍(おうりゅう)麒麟(きりん)鳳凰(ほうおう)霊亀(れいき)
四聖獣らの力を借り、三日三晩の戦の末についには四凶を葬った!」
ルヲ
「さてさて皆さん、お気づきでしょう。
四凶を倒した胡 雲曜。
彼が残した子孫には応龍の血が流れるという」
ルヲ
「そうご明察! 応龍と結ばれし胡一族がのちに開いた王朝こそ、九九八年続いた――」
ルヲ
「我らが生きる《月下ノ国(げっかのくに)》のはじまりだ!」