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鑑定用の石を籠から取り出すと、机の上にそれらを並べていった。
一見変わらないように見える数々の石の中から《宝玉の原石》を見極めるのだ。
村の池から汲んできた水の入った桶を机の横に置き、天に手を掲げて蛍聲様に祈りを捧げる。
- ナーヤ
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(蛍聲様。どうかお力をお貸しください。
私たちに火を与え、生きる糧をお与えください――)
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石を手に取ると、一度目を瞑り、そして私は瞼を開いた。
《炯眼》
――全てを見顕すと言われる目が熱を帯び、世界の色が変わった。
ふわりと風が舞い上がり、私の髪を揺らしていく。
風が葉を擦るような音が、近く、遠くで聞こえた。
蛍聲様の囁き声か、それとも風の音か。
導く音の中で、私は石を見顕す。
- ナーヤ
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(これは、違う。原石じゃない)
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石を置き、また別の石を手に取る。
- ナーヤ
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(これも違う――)
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一つずつ手に取っては、炯眼でその奥に潜む正体を見極める。
そしてひとつの石に指で触れた瞬間、石が脈打ち、触れた所が熱くなったような錯覚に襲われた。
碧い光の粒が頬を撫で、葉擦れのような音が大きくなる。
- ナーヤ
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(見つけた。《宝玉の原石》だ――)