- ローズ
-
(おそらくくつろいでいる姿を見られたはず。
……いまさら説得力皆無だわ)
- ローズ
-
「いえ……下りられますが、気持ちがいいのでしばらくここにいようかと思っていたところでした」
-
正直に答えると、エドワードはたちまち破顔した。
- エドワード
-
「ふ……はは!
うん、たしかにすごく気持ちよさそうだ。
せっかくだから私も君に倣おうかな」
- ローズ
-
「えっ?」
-
驚いているうちに、エドワードは木の幹へ足をかける。
そしてあっという間に私の隣まで登ってきた。
- エドワード
-
「君が木登りできるとは知らなかった。
……まさかこの場所を発見されるとも思わなかったな」
- ローズ
-
「この場所というのは、いまいるここ、ということでしょうか……?」
-
怪しみながら尋ねると、エドワードは嬉しそうに目を細めた。
- エドワード
-
「そう。子供の頃、ここは私のお気に入りの隠れ家だったんだよ。
ニックや……父上に叱られた時はよく避難していた」
- エドワード
-
「ここにあがると、風が慰めてくれるような気持ちになったものだ。大丈夫、元気を出してってね」
-
その言葉通り、彼の頭を優しくなでるように風が吹いてエドワードは気持ちよさそうに目を閉じる。