-
今日のエリヤは格別に強かった。
私を傍らに置き、時には膝に乗せたりもしてゲームに挑む。
相手にチップを積ませるためにわざと負けて、最後に全部を掻っ攫う。
大勝ちにカジノが沸く。
- 凪咲
-
「よくそんな賭け方できるね」
-
ちょっと呆れ混じりに口にすると、エリヤは愉快そうに口の端を上げた。
- エリヤ
-
「傍に勝利の女神がいるからな」
- 凪咲
-
(そう言われるとちょっと……いや、だいぶ……満更でもないけど)
-
抱えられながらゲームに挑むと、獣人たちに囃されて恥ずかしくなってしまう。
それでも私は、エリヤの傍から離れることはなかった。
特等席で彼の真剣な顔を見られる、今日のこの時間は、私だけの特権だ。
厳しい局面の時、すっ――と、エリヤの目が細くなる。
- 凪咲
-
(あ……)
-
その表情を見る度ときめき、間近でたっぷりと堪能してしまった。
そうこうゲームを続けているうちに、エリヤの手持ちのチップはとんでもない量に。
- 凪咲
-
(本当に、宣言どおり大勝ちしちゃうんだもんなぁ)